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研究内容の紹介です Laboratory of Histopathology and Cytopathology Gunma University Graduate School of Health Sciences

研究についてRESEARCH

研究を紹介します.

私たちは,病理学,病理検査学,細胞診断学領域の研究を広く行っています.保健学研究科の病理・細胞診研究室として細胞診に直結するあるいは細胞診で最も大切な評価項目である核の性状について広く研究するとともに,臨床検査技師として必要な染色手技や薄切法などの病理検査学領域の研究も精力的に展開しています。以下に主な研究テーマを紹介します
新着の掲載論文はBIBLIOGRAPHYに更新しておりますので、併せてごらんください。


核形状変化の細胞生物学的機構の解析

がんになると,細胞の核は大きくなったりいびつになったりします.でもそれはがん細胞の種類が違うと全部違うのです.例えば分泌腺の癌(腺癌)だと核にくびれができますが,重層扁平上皮という積み重なった細胞のがんでは,くびれは目立ちません.私たちはそのような各種のがん細胞の核の形をコンピュータを使って解析しています.近未来的には培養細胞などで核の大きさや形を変える因子を細胞生物学的な方法や分子生物学的手法で解析することを目指して現在皆で頑張っています.
現在までに多数の論文を英文として報告しています。


「細胞内細胞現象」の分子病理学的解析

細胞が細胞の中に活きたまま入る現象を総称して「細胞内細胞現象」と呼びます.現在までの世界の研究ではエンペリポレーシス,カニバリズム,エントーシスなど様々な現象が精力的に研究されてきましたが,私たちは,細胞内に細胞が飲み込まれるこの「細胞内細胞現象」を細胞診検体や病理組織検体などを用いて,コンピュータを用いた画像解析を応用しつつ解析しています.1本論文に掲載されているとともに(1.Fujimori, M et. al. Int J Oncol 2020; 57: 1214-1222.),現在培養細胞などで細胞内細胞現象を促進させる因子や抑制させる因子の探求を進めるために準備を進めています.


肝臓や肺の線維化の分子病理学的解析

臓器が壊された時,人間の体は,壊された細胞を再生するよりも前に線維という硬くて糸状の物質を作って穴埋めしようとします.例えば肝炎ウイルスが肝細胞に感染して,肝細胞が壊されてしまうと,残った肝臓の細胞の周りに線維が取り巻きます.困ったことにこの線維が肝細胞に取り巻くと,肝細胞の隣にある類洞という血液の流れる通路を寸断してしまいます.これが肝線維症や肝硬変症という病気です.また,これが肺で起こると肺線維症といいます.
私たちは,肝硬変症や肺線維症の組織の状態を,組織を病理学で良く使う特殊染色という染色や免疫染色という染色方法を使って染色して,その後コンピュータを使って線維化の面積や濃さなどを解析しています.今までにシリウスレッドという色素による肝組織の染色法において途中で用いる,リンタングステン酸やリンモリブデン酸処理は未処理のシリウスレッド染色より核の非特異的染色性を抑制することを見出しましたが,それと同時に,リンタングステン酸やリンモリブデン酸処理が可視光のブルーライト領域の光や紫外線で青く変色する現象があるため,その防止方法を見出し,英文として2編掲載されています。(1.Mukade, Y et. al. J Histochem Cytochem 2023; 71: 11-26.
2.Hatori, M et. al. J Histochem Cytochem 2020; 68: 621-634.)

病理標本作製の精度向上について研究

病理標本の精度を向上させるための研究をしています.標本を薄く切ることを薄切といいますが,標本を作製するときにどんな条件で薄切すればよいのかなどを研究しています.先日薄切の厚みが,持続冷却システムを用いると設定値の通りになるが,持続冷却しないと設定値より厚くなることを実際に切片の厚みを測定して画像解析も用いて色調と厚みとの相関関係も証明し,英語論文として発表しました(.Saio, M et. al. Histol. Histopathol. 2024: Epub ahead of print.)
。今後も引き続き薄切の精度をどのようにすると上げることができるのか,客観的な指標に基づいて検討し英文発表してゆこうと思っています。


群馬大学大学院保健学研究科生体情報検査科学病理細胞診研究室

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